従業員から14日後に退職したいとの申し出がありました。
就業規則では退職は30日以上前に申し出ることを定めています。
引継ぎもあるので就業規則の30日ルールを守ってもらっても大丈夫ですか?
期間の定めのない雇用契約の場合、従業員は2週間前に申し出ることで雇用契約の解約申し入れをすることができます(民法627条)。
会社のルールである就業規則の30日前と法律である民法の2週間前では民法が優先されることになります。
※給与形態や雇用形態によっては2週間前の申告では退職できない場合もあるので、注意が必要です。
就業規則に退職申出日の規定を定めても意味がないのか?
退職を申し出る時期については就業規則で1カ月前までに申し出ることと定めている会社が一般的かと思います。それにもかかわらず14日前に退職を申し出るということは従業員は民法の規定を根拠に申し出していることが想定されます。
この場合、会社の立場としては、後任への業務の引継ぎ、残った有給の消化を考えると1カ月という期間は合理的な期間かと思います。まずは就業規則に定めた申出期間を守るよう従業員に伝えると良いでしょう。それでも従業員が14日後の退職を主張するならば、会社はこれを受け入れざるを得ません。
就業規則に退職申出の規定を定めても意味がないのか?については、確かに民法に規定がある以上強制力はありませんが、就業規則に記載があることでその日数を守ってもらえることが多く、やはり合理的な期間として定めた方が良いと言えます。
有期雇用契約の場合は、民法627条が適用されない。
民法627条は無期雇用契約の雇用の解約の申し入れを定めた条文になります。
有期労働契約の期間途中で、従業員から会社に退職の申出をすることができるのは、「やむを得ない事由」がある場合に限られます。(民法628条)
しかし、労基法では当分の間、契約期間の初日から1年を経過すれば、従業員のほうからは「やむを得ない事由」がなくても、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができるとされております。期間の定めのない労働者と同じ扱いとなり、通知から2週間ルールが適用されます。
但し、例外規定が存在します。一定の事業が完了するまでの期間を契約期間とする場合や、契約期間の上限が5年まで認められてる場合は対象となりません。